「ただ欲しい」に理由をつけるとすれば


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フリーランスになって最初にしたことは「1. ファクス付き電話を買う」「2. 携帯電話を買う」「3. パソコンを買う」「4. カメラ機材を買う」だったような気がする。取材、打ち合わせその他、移動に必要なクルマはフリーになる前に5万円で買い(知人のツテで不動車を譲ってもらった)、ほぼ同時に駐車場つきの郊外のアパートに越していたから(都心だと駐車場代が払えない)、あとは仕事道具を揃えればよかった。

とはいうものの3.のMac、モニター(SONYの15インチ)、キーボード、プリンタ(hp)、モデム(当時出たばかりの14400bps)一式はさすがに高く、4.の「カメラ機材を買う」にたどり着くまでには1年くらいかかった。ボディはEOS5、レンズはキットの28-105㎜ 1:3.5-4.5に、同じくキャノンの70-200㎜ 1:2.8。これに加えてテレコン、ストロボ、クイックチャージャー、三脚、カメラバッグなどなど。なぜここまで無謀なことができたのか、当時の自分に会うことができたらちょっと訊いてみたい気がする。

その後、’99年くらいを境に写真撮影をやめたので機材は放置、70-200㎜は手放してしまった。ほどなくしてカメラの世界はフィルムからデジタルへと移行、モデルチェンジの速さと価格の高さを見て、しばらく一眼レフは買えないなと実感した(どのみち買う気もなかったのだが)。写真に対する興味を取り戻し始めたのは昨年後半から年末くらいにかけてのことで、数えてみるとかれこれ17年くらい撮影から遠ざかっていたことになる。

考えた末、ボディはEOS6D、レンズは単焦点の24㎜ 1:2.8だけ買い足して、標準ズームは昔の28-105㎜をそのまま使うことにした。20年以上前のレンズで光学性能はそこそこ、画像もクリア感なく、どこか色被りしているように見えるのだが、考えようによってはそれが味だと言えなくもない。

それとは別に以前から気になっていることがあった。カメラボディにつけるストラップである。ボディを買うと、たいていメーカー名の入った純正ストラップ(布製)がついてくるが、これがどうにも好きになれなかった。肩に掛けて移動するとき以外ほとんど使わず、撮影時には右手首にグルグルと巻き付けたりして使う。こんなもの本当に必要なのかとずっと思っていた。正しくはしかるべき長さに調整した上、首から下げるという正統派スタイルを採るべきなのだろうが、そんなのダサさの極地であると、若くて愚か(Young & Stupid)な自分は思っていた。

17年の間にストラップは進化しとらんのか、と調べてみたらPeak Designというところから「Slide」という製品が出ていることがわかった。
PVを観るかぎりでは、なかなか良さそうである。

ストラップはシートベルトのような素材でワンタッチで長さ調節が可能。カメラボディとは専用のクリップを介して固定する。クリップの中央部分(pdのロゴが刻印されている)を押しながらスライドさせれば、ストラップは簡単に取り外すことができる。Slideには三脚固定用のネジ穴に留めるPlate(ARCA-SWISS規格に準拠)が同梱されていて、カメラボディ横+Plateのクリップを留めた状態で(写真下)たすき掛けすれば、PVのようにレンズが下を向く。

純正ストラップのようにカメラボディ横+横のクリップを留めた場合、ボディとレンズは横向きになるが、腰上くらいまでストラップを伸ばせば、この状態で歩いてもほとんど気にならない。長さ調節が簡単にでき、用途に応じてクリップ固定位置もすぐ変えられるというのは、使ってみるとやはり便利。

Peak Designには「Capture」という製品もあって、こちらはカメラバッグやバックパックのショルダーストラップ、ベルトなどに装着して使う。
言葉で説明するよりPVで観てもらった方が早いかもしれない。

ちょっとカメラボディを留めておきたいときや三脚、一脚に固定したいとき、ワンタッチで固定/取り外しができるのは、これまた便利。

本体はアルミ削り出しで固定されたときのクリック感、リリース〜スライドして外したときの手ごたえもなかなかいい。機能性と趣味性が、ほどよいバランスでミックスされていて、このあたりがガジェット好きに受ける要因だと思う。

Peak Designはカメラバッグやカメラ用各種ストラップなど機能的な製品をいくつもラインナップしている。買うときの理由としては「使いやすい」「機能的」「グッドデザイン」といったあたりが上位にくるのかもしれないが、実際に手にしてみるとガジェットとして魅力的だから使う、という人がけっこう多そうだ。そして最終的には「使いやすい」「機能的」は言い訳になってしまう。要は気に入っているから使うのだ。思えばAppleのかつてのラインナップも、ほとんどそういうもので占められていた気がする。

ガジェット欲しい、に理由はない。そんなとき大義名分を与えてくれる商品企画は、やはり優れていると言うべきだろう。もしかしてこれはガジェット開発における、隠れた重大要件なのではないだろうか。

Peak Design = https://www.peakdesign.com/