急に洗練されたのには理由がある?


Timbuk2(ティンバック・ツー)というバッグメーカーがある。たしかメッセンジャーバッグからスタートして、その後バッグ全般を手がけるようになった。原点であるメッセンジャーバッグのイメージを狙ってか、フロントフラップがアシンメトリーなデザインになっていたりして、個人的にはそこが苦手だった。ところが久しぶりにラインナップを見てみたら、急に洗練されてシックになってきたようなのだ。最近のAerも同じような傾向にある。何が起こっているのだろう。

とくに気になったのは「Never Check」と呼ばれるシリーズで、バックパック、ダッフルバッグのほかオーバーナイト・ブリーフケースやトートバッグ、4ウィール・スピナー(いわゆるローラーラゲッジ)などもラインナップされている。いずれもキャリーオンサイズ(機内持ち込み可能)というのが売りのようだ、本国サイトはこちら

なかでもバックパックとダッフルバッグの出来がよさそうだ。

まだあまりレビューは上がっていないようだが、Traveling Salserosによるバックパックのレビューがあった。11月7日にアップデートされたばかりで、11月末時点での再生回数は3700回ほどである。


(レビューしているバッグのチョイスはなかなかよいのだが、彼は早口で延々としゃべり続けるスタイルで、だいぶ損をしていると思う)

このバックパック、正式名称を「エキスパンダブル・バックパック」といい、24リットルの容量を30リットル程度まで拡張することができる。前面には縦位置のクイックアクセス・ポケットがあり、それをふたつのGフックで上から留めるという、なかなかよいデザインだ。バックパックではあるが、横に寝かせて中身を出し入れすることを前提にデザインされている。このスタイル、何かに似ている。なんだろうと思ってしばし考えて思いついたのは、まずEvergoodsのCPL24だった。

CPL24は前面のクイックアクセス・ポケット(縦位置)が「エキスパンダブル・バックパック」と逆側、つまり正対して見たときに左側についている。PVを見るとわかるが、両肩にストラップを掛けて背負っている状態から「右肩のストラップを外し、左側からスイングさせて身体の前にバックパックを置く」というのが基本動作となる。おそらくデザイナーは「右利きの人は右手で左から右にジッパープルを引くのだから、この方が操作しやすいはずだ」と考えたのだろう。

それはそれで正しいのだが、現実世界ではバックパックのストラップを片側だけ掛けて持ち運ぶ、ということもけっこうあるのである。その場合、右利きの人は右肩にショルダーストラップを掛け、なおかつ右手でストラップをつかむ。つかむ位置は右肩の少し下くらいだろう。

その状態で「右側からスイングさせて身体の前にバックパックを置く」とどうなるか。CPL24のクイックアクセス・ポケットは下側になってしまい、荷物の出し入れができない。これを避けるには「いったんバックパックを縦に置き、そこから左に倒す」という、かなり不自然な動作をしなければならない。有名バッグ・レビュワーのチェイス・リーヴスが「このバッグは左利き用に作られている」とコメントしていたが、そう思われても仕方のないところはある。

左利き用に作られたというより「両肩にストラップを掛けて背負っている状態」がデフォルトで、そこから右利きの人が使いやすいようにデザインされたのがCPL24なのではないか、というのがぼくの見解だ。要するにEvergoodsの2人は真面目なのである。彼らにとってのバックパックとは片側だけストラップを掛けて、てれてれ歩くようなものではないのだ。

ストラップを右肩に掛けて持ち運んだとき、縦位置のクイックアクセス・ポケットにアクセスしやすくするには「エキスパンダブル・バックパック」のようにジッパーを右側につければいい。両肩で背負っているときは「左肩のショルダーストラップを外して、右側からスイングさせて身体の前にバックパックを置く」という動作になり、右手がふさがってしまう分、2ステップほど動作が増えるが(右手をストラップから抜いてGフックをふたつ外し、それからジッパープルを引く)右肩だけで背負っているときも両肩で背負っているときも動作自体は同じなので、さほどの混乱はないだろう。

ということを考えつつネットを見ていたら、同じようなデザインのバックパックがあった。「KLETTERWERKS SUMMIT 20L」というモデル。KLETTERWERKS(クレッターワークス)というのはアメリカではMYSTERY RANCHのサブブランド的扱いだが、日本ではMYSTERY RANCHブランドで販売されているようだ。

https://www.mysteryranch.jp/Packs/detail/19771006/


(毎度おなじみチェイス・リーヴス。Kletterworks Summitの解説は20:37あたりから)

メイン・コンパートメントに間仕切りがあって荷物の仕分けやウォーターボトルを入れるのに便利そうである。このバッグはチェイス・リーヴスも高く評価していて、理由のひとつに価格が手頃という要素を挙げていた。アメリカでの販売価格は90ドル前後(今日のレートで1万円ちょっと)とのことだが、現在はどこを見ても軒並み売り切れで、本国のウェブサイトではラインナップからも姿を消してしまっている。在庫があるなら日本で買えばいいか、と思って価格を見てみると、そこには「2万6000円」という非情なプライスがついているのであった。

「エキスパンダブル・バックパック」は使い勝手もよく、容量も24リットルと日常使いにはちょうどいいサイズだ。拡張することもできるので、小さめのワンバッグ・トラベル・バッグとして使うこともできるだろう。その点、Tortugaの「Setout Divide」と位置づけがちょっと似ている。

「エキスパンダブル・バックパック」の問題は価格で、定価199ドルはちょっと高めのプライシングだと感じる。「Setout Divide」が179ドル、「CPL24」が229ドル(さっきウェブサイトを見たら売り切れ中入荷待ちで199ドルのセールになっていた)。こうしたバックパックとほぼ同じ価格帯というのは正直分が悪い。実物を手に取っていないので断言はできないが、素材や質感もやや落ちるのではなかろうか。

ブラックフライデー&サイバーマンデーのセールで「エキスパンダブル・バックパック」はけっこう割引して販売されていた。120〜130ドルくらいでなおかつ送料が手頃なら購入候補に入ってくるが、そうでなければ「Setout Divide」や「CPL24」に気持ちは傾く。ユーザーの気分というのは、なんともわがままなものなのである。「エキスパンダブル・バックパック」、日本でも売ってるのだろうかと調べてみたら、国内における税込み定価は2万4840円とのことだった。