ピアニストはヘヴィーメタルがお好き


映画「Bohemian Rhapsody」つながりでQUEENの動画を観ていたら、面白い人がいた。チャンネル名は「vkgoeswild」といい、Vikaという女性がロック、ヘヴィーメタルの曲をピアノで弾いている。「ボヘミアン・ラプソディ」もあった。


(どのビデオでも手書きと思われる譜面が、いわゆる“勧進帳”で置いてある)

テクニックもすごいのだが、自分で書き下ろしたというアレンジがいい。コード、メロディ、タイム感など元曲をよく理解していて、演奏中はきっと頭のなかでドラムやベース、ギターなどの音が鳴っているのだろう。クラシックっぽいところもあるけれど、基本的なノリはロックなのだ。

この人はいったいどういう人なのかと思って見ていくと、自己紹介を兼ねた短いビデオがアップロードされていた。後半ではカリブ海のクルーズ船でヘヴィーメタルを弾きまくる様子も紹介されている。


(ピアノラウンジでの演奏はメタル&ワインというワインメーカーがスポンサーになって実現したそうだが、最後には低音弦を切って演奏できなくなってしまう)

彼女の名前はViktoriya Yermolyevaといい、1978年ウクライナ・キエフ生まれ。ピアノは4歳から弾き始め、クラシックピアノをドイツ、オランダ、イタリアなどで学んでいる。各種コンクールでも優勝経験をもつ、正真正銘のトップピアニストであるようだ。Vikaは子どもの頃からのニックネームで、今もほとんどの人が彼女をVikaと呼んでいるという。

クラシックの専門教育を受ける一方で、Vikaはロックを聴くようになった。趣味はどんどんヘヴィーになり、聴くジャンルはハードロックからヘヴィーメタルへと広がっていく。vkgoeswildは、そんな彼女が個人的な息抜きとして作った「Secret Channel」だったと、オフィシャルサイトの自己紹介に書いてあった。

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一般にクラシック畑の先生はポップミュージック、ロックミュージックなどを嫌う人が多い(日本の音大ではロックを聴いたり弾いたりすると「芸が荒れる」と言われたりもするらしい)。匿名でチャンネルを始めた裏には、そんなクラシック界ならではの「常識」も関係していたのだろうか。


(これはGun ‘N’ Rosesの「Sweet Child O’ Mine」のカバー)

ダンスを踊るビデオなどもアップロードされているが、ダンスを習ったことは一度もなく「ただ好きだから踊っているだけ」とのこと。「気に入らなかったら見なきゃいいし」と低めテンションで語るVikaは、いかにもメタルヘッドという感じで好感がもてる。

手書きの譜面データはオンラインで一部販売もされていて、彼女の公式チャンネルを通じて資金援助をすることもできる(パトロンになるわけである)。匿名で始めたチャンネルのサブスクライバー(登録者数)は、このエントリを書いている時点で、およそ66万人。さすがにもう秘密ではないと思うが、クラシック界の反応はどうなのだろう。そのあたり、ちょっと気になったりもするのである。