Dark Starという映画2本
Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156
Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156
Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156
Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156
Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156
『ホドロフスキーのDUNE』という映画がある。スターウォーズ以前にアレハンドロ・ホドロフスキーが作ろうとして果たせなかった超スペクタクル・スペース・ムービーについてのドキュメンタリーだ。
絵コンテがメビウス、エイリアンのデザインがH.R.ギーガー、出演もオーソン・ウェルズ、ミック・ジャガー、サルバドール・ダリなど、錚々たるメンツを予定していた。原作はフランク・ハーバートの小説で、こちらもなかなか読ませるのだが、ホドロフスキー版DUNEはエンディングもオリジナルだったという。
特撮監督は当初『2001年宇宙の旅』のダグラス・トランブルを予定していた。ところがホドロフスキーいわく、トランブルは彼とのミーティング中に40回も電話に出たりしたらしい。その様子を見たホドロフスキーは「こいつはダメだ、ともに闘う戦士ではない」とトランブルをさっさと見切ってしまう。
しばらくしてホドロフスキーはハリウッドの小さな映画館で『Dark Star』という映画を観た。ジョン・カーペンター監督、ジョン・カーペンター&ダン・オバノン脚本の超低予算映画。ダークスターというのは主人公たちが乗る宇宙船の名前で(船体にDARK STARと書いてある)乗組員はみんなサーファー(サーフバムと呼ぶ方が適当かもしれない)やヒッピーのような風体の男たちである。
(Dark Starの予告編。公開は1974年)
この映画を観たホドロフスキーは、オバノンこそ自分の求める特撮監督だ! と直観したという。どんな映画なのだろうと気になったので先日DVDを観てみた。ストーリーも演技も果てしなくゆるく、特撮はこれ以上ないくらいチープ。一種のカルトムービーだが、ホドロフスキーが「こいつだ!」と思った理由は、よくわかった。端的に言ってホドロフスキーの映画とよく似ているのだ。
シリアスなのかコメディなのか、よくわからない演出。それでいいのか! と思わず突っ込みたくなるディテール無視のストーリー。それでいながら突き抜けていて、スピリチャルなものを感じさせる謎の雰囲気。脚本を書いたオバノン自身が主演もしている(ホドロフスキーの映画も本人が主演、または重要な役どころでかならず出てくる)などなど。
『Dark Star』という映画、じつは『エイリアン』の雛形なのではないかとぼくは思っている。ホドロフスキーのプロジェクトが頓挫したあと、オバノン、ギーガー、クリス・フォス(宇宙船デザイン)といったスタッフが関わったのが『エイリアン』で、オバノンは脚本を担当した。なんといっても設定がよく似ている。舞台はおもに宇宙船の内部で、逃げ出して船内に潜むエイリアンと対決するシークエンスがある。Dark Starのエイリアンは予算の都合上、ビーチボールに絵を描いて足をつけただけの代物だ。
宇宙船はコンピュータによって制御されていて、困ったときには「賢者」に相談する。エイリアンではマザーと呼ばれるコンピュータだが、Dark Starでは冷凍保存された船長と会話するのである。ほかにも爆弾の起爆をなんとかして止めなければならない、というシークエンスがあったり、エンディングで母船を捨てて主人公が脱出するなど、基本骨格は驚くほど似ている。「そうか、あのビーチボールをギーガーがデザインし直すとエイリアンになるのか」と思いつつ観ると、なかなか感慨深い。
そういえば昨年日本公開されたH.R.ギーガーのドキュメンタリー映画も『Dark Star』というタイトルだった。2014年の制作、2015年公開だが、映画が完成する前にギーガーは亡くなってしまった。(2014年5月12日没)この映画もなかなか興味深い。
https://www.youtube.com/watch?v=0RA0YyXilFQ
バブルの頃、東京の白金台にギーガーバーというバーがあった。内装デザインをギーガーが手がけたというのが当時の売り文句だったが、Wikiによると、この店は彼のラフスケッチをもとに作ってしまったもので、ギーガーはこの店舗は自分の作品ではないとして内部に足を踏み入れることもなかったという。
現在ギーガーバーはスイスのクールとグリュイエール、2ヵ所に存在している。クールの方はショッピングセンターのなか、グリュイエールの方はサンジェルマンという古城のなかにあり、こちらはギーガー博物館に併設されているらしい。
http://www.hrgiger.com/barmuseum.htm
博物館をなぜここにつくったのか、展示されている作品をどうやって集めたのか、などについては映画『Dark Star』でも言及するシーンがある。
https://www.hrgigermuseum.com/
(H.R.ギーガー博物館のウェブサイト)
アクセス情報にはチューリッヒとジュネーブからの道順が簡単に書かれているが、地図を見るかぎりではジュネーブからの方が若干近いようだ。冬は寒さも厳しく雪も多いと思われるので、訪れるなら晩春から秋くらいがいいのだろう。機会があったら(この博物館に行こうと思わなければグリュイエールに行くことはまずないと思われるが)ぜひ行ってみたい場所のひとつだ。
Wikiによるとギーガーは2013年に設立されたSci-Fiホテルチェーン(代表はAndy Daviesという人物だそうだ)と契約を交わし、アメリカ国内でのギーガーバー・ブランドの展開などを計画していたようだ。しかし当のギーガーが亡くなってしまったいま、この計画がどうなったのかについては、よくわからない。