死蔵10ProがMMCX化改造で復活
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イヤホン、ヘッドホンに関しては、いわゆるモニター系と呼ばれるモデルが好きである。
たとえば以前にもちょっと書いたSONYの海外向けモデル、MDR-7506。
あるいはEtymotic ResearchのER4P。ER4PのPはポータブルの頭文字でポータブルアンプなどを使わなくても音量が取れ(クラシック聴く人に評判の高い)4Sよりも低音が出て聴きやすい。インピーダンスを4Sと同じにするための変換ケーブルなんてのもあって、これを使うと音場感が微妙に変化する。中に抵抗が入っているだけなのに無意味に高価でネットを見ると自作している人もけっこういるようだ。自分はそこまでする情熱はない+老眼でハンダ付けが困難になってきたので、もったいないと思いつつ既製品を買った。
ちなみにER4シリーズは最近モデルチェンジしたようだが、そっちは聴いたことがない。
ベースを中心に音楽を聴くようになってからは中低音がやや前に出るものを好むようになった。たとえばAKGのIP2、PHIL JONES BASS(日本語表記はフィルジョーンズベース)のH850など。
IP2はわりといいイヤホンだが、1万円近い値札がついている。見た目はグレーでワイヤーも昔のイヤホンみたいなへなへなのフラットタイプである。貧相なデザインを見て、これは買えないと断念する人も多かろうと思う。
https://www.akg.com/Headphones/Professional%20Headphones/IP2.html
説明書きには「プロ用」「モニター用」と書かれているが、実際にはけっこう派手目の音。ハウジングはゼンハイザーのCX-400Ⅱ/300シリーズやCREATIVE MEDIAのEP-630あたりとよく似ている。このうち使ったことがあるのはCX-400Ⅱだけだが、これもなかなかよいイヤホンだった。
PJBのH850はベースアンプのメーカーが作ったヘッドホンでこれを通して音楽を聴くとベースラインが非常に聞き取りやすい。ウチではPJBのポータブルアンプ、BIG HEADと組み合わせてベース練習用に使用。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/184107/
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/194610/
DOUBLE FOURというプラクティス・アンプも一応もってるのだが、なぜこんなにPJBに肩入れしているかというと、今は亡きファンクブラザーズのベーシスト、ボブ・バビットが勧めていたからだ。(ボブ・バビットの話はまたそのうちに書こうと思う)
といった前振りとまったく矛盾するようだが、今まで買ったイヤホン/ヘッドホンのなかでもっとも気に入っていたモデルはというと、これはUltimate EarsのTRIPLE.Fi10、通称10Proである。こいつは派手目の音でリスニング系なのだが音場広く、楽器の分離もよく、文句をつける部分がまず見つからない(ブルーのハウジングが変だとか、価格が高いといった声はよく聞いた)。厳密に聴くと中音域がやや引っ込んでいると言う人もいたのだが、エンターテイメント性が高いので個人的にはまったく気にならない。
10Proのケーブルコネクターは独自形状の2pinタイプで、純正ケーブルはお世辞にも高級感があるとは呼べない代物である。ウチの個体は左側のコネクタがどうも調子が悪く、昨年あたりから音が出たり出なかったりしていた。社外品の2pinケーブルを入手して試してみたものの、件の症状は変わらず。うーん、これはコネクタの寿命かなと思ったのだが、その頃には生産終了からかなりの時間が経っていて新品は入手困難、さらにリシェルをしてくれる業者もほとんど見つからないという状況になっていた。
そんなわけで10Proは1年ほどケーブルを外した状態で死蔵されていた。なにかうまい復活方法はないものかと思っていたのだが、今年の夏にイヤホンの断線修理に行ったショップで「10ProのMMCX化」をやっていることが判明。
(料金は1万1900円+税)
MMCXなら社外ケーブルも豊富に揃っているし、コネクター部分のモディファイ時には配線やドライバの作動チェックもしてもらえる。ドライバがダメなら仕方ないが、とりあえずバラして見てもらう価値はある。ちょっと高い気もするが、背に腹はかえられない。というわけで先日修理を依頼してきた。
MMCX化はハウジング後方の黒い部分を取り外し、MMCXコネクタの付いた専用パーツに交換するという形でおこなう。専用パーツはカスタムイヤモニに使われるような樹脂製で、やや凹凸感がある(純正がラバーコートしてあるのに対して、こちらは樹脂そのままなので少し光沢感がある)。接着部分の仕上がりなどもそれなりではあるが、音楽を聴いているときはどうせ自分では見えないのだから気にならない。(当社比。コスメティックな仕上がりに高い完成度を求める人には、お薦めしません)
結果、接触不良などもなくなり非常に快適。MMCXケーブルはとくに高価ではない社外品だが、音質もとくに不満なし。10Proが使えなくなったあと高音質イヤホンを求めてDITAのAnswerなども入手してみたのだが、聴き比べてみると、ことリスニング用途に限っては10Proの方が楽しく音楽が聴ける。10Proが一番とは、我ながら意外性もなんもない結論で困ってしまうのだが、実際に聴き比べての結果なのだがらしかたがない。「いいものはいい」というのも、これまたひとつの真実なのである。