好きな人とうまい人


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これまた少し前のエントリで「一番好きなヴォーカリストは誰か」と訊かれた話を書いた。たしか98年とか、それくらいの時期。当時はブルースにハマっていたこともあり、知り合いの雑誌編集長から「キミはマディ・ウォーターズが好きだろう」などと言われたのだが、そんな単純じゃないわいと思いました、と、これが前回までのあらすじである。

大体、現地に出かけていってライブハウス通ったりしてたのはニューオリンズなのだから、この時点でマディであるわけがない。ドクター・ジョンとか、ジョン・クリアリーとか、アーロン・ネヴィルとか言われるならまだしも(この列挙、ヴォーカリストということでいうと順序が逆か)。

昔すぎてディテールは覚えていないが、「一番好きなヴォーカリストは誰か」には「もし自分が生まれ変われるとしたら、どのヴォーカリストがいいか」みたいな条件もついていた気がする。夢のバンドを組むとしたら自分以外のメンバーは誰がいいか(プレイヤー誌にそういうコーナーあったけど、今もあるんだろうか)みたいなもので、音楽好きがする雑談の、一種の定番だ。

で、98年時点での答えは何だったかというと、じつはダリル・ホールだった。ソウル系で艶のある声、中音域においしい音域があって、メロディーラインもよい。とにかくピタっとくる。

まわりの反応は、そりゃ意外だねえというものだったが、ハードロック、ヘヴィーメタルのあとポップ、ロック、ソウル、R&Bを節操なく聴いていた(FENのアメリカンTOP40とかストック・エイトキン・ウォーターマンもけっこう好きだった)自分としては、きわめて妥当なチョイスなのである。

ハードロック、ヘヴィーメタルで好きなヴォーカリストは、と訊かれてもあまりこれといった人が浮かばないのだが、うまいと思っていた人は2人いる。
まず1人めはロニー・ジェイムズ・ディオ(映像はStar Gazer)。

2人めはスコーピオンズのクラウス・マイネ(映像はBig CIty Nghts)。

デヴィッド・カヴァーデール、グラハム・ボネット、フレディ・マーキュリーなどなど、うまい人はいろいろいるが、当時の自分にとってハードロック、ヘヴィーメタルというのはバンドサウンドを聴くもので、ヴォーカルもアンサンブルのひとつに過ぎなかった。ありていに言えばギターばかり聴いていたのである。

今だったら誰を選ぶだろう。おそらくヴァン・モリソンあたりは候補に入る。

ヴォーカリストで好きな人というと自分の場合、まっさきに頭に浮かぶのは女性ヴォーカルである。
たとえばジョアン・オズボーン。ソウルフル、声にガッツがあり、声量もあると、三拍子揃っている。

ソウル系だとマーヴィン・ゲイもいいのだが、あまりに直球すぎるのでルーサー・ヴァンドロスで。
生まれ変わってルーサーみたいな歌声になれるんだったら言うことない。

こうやってリストを眺めていると趣味は多少変わったが、ミーハーであることに変わりはないようだ。つくづく人間って進歩しないものである。