VCEからヴェネツィア本島への交通手段について


Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156

Warning: preg_match(): Unknown modifier '.' in /home/hiromiura/bookmoviemusic.com/public_html/wp-includes/class-wp-embed.php on line 156

ヴェネツィアに初めて行ったのは、たしか2009年くらいのことだったような気がする。いわゆるプレスツアーで北イタリアのヴェネト州を取材して回ったのだった。

 

プレスツアーのときはいつもそうなのだが、行き先のことなど、ほとんどなにも調べずに飛行機に乗ってしまう。1.観光目的ではないので事前情報不要、2.現地での予定は向こうで組んでくれるので考える必要がない、3.自由時間などほとんどないのだから行きたいところをリストアップしたってしょうがない、などなど、諸々の理由がないまぜになってそういうことになるのだが、要するに自分にとって仕事で行く海外は「旅行」ではないのである。

シンガポールに行ったときも飛行機がチャンギ空港に着陸してから「もしかしてラッフルズホテルとシンガポール・スリングのシンガポールなのか、ここは」と思ったし、ケルンに行ったときも現地に着くまで駅前にあんなでかい大聖堂が建っているとは知らなかった。現物を見て「中世にこんなもの作ろうと思ったら、500年くらいかかるのではないか」と思ったのだが、建設が始まったのが13世紀、完成したのが19世紀で建設期間は延べ600年以上である、という説明を読んで絶句したりした。

ヴェネツィアもまったく同じで、乗っていた大型バスがローマ広場に停まるまで向かっている先が「水の都」と呼ばれる「あのヴェニス」であるということに、まったく気づいていなかった。水上タクシーに乗り込んで最初に頭に浮かんできたのは「この風景、どこかで見たことがあるな」という不思議な既視感である。うーむ、としばらく考えてわかったのだが、それは昔ハマったPlayStationのゲーム『トゥームレイダー2』のヴェネツィア・ステージで見た街並みなのであった(我ながら情けない)。

余談だが、海外の観光地に行って心から感心したという経験は今までに数回しかない。最初はグランドキャニオンの広大すぎるランドスケープ、次が先ほど述べたケルンの大聖堂、そして最後がヴェネツィアの街並みである。どれも写真や映像で「こんな感じだろうな」と想像したイメージを余裕で超えていくインパクトがあった。こういうリストは、これからも増えてほしいと思うが、こればっかりは残念ながら行ってみなければわからない。

そんなわけでヴェネツィアのことは大いに気に入り、それ以来何度か足を運んでいる(というか、物価が高い、人が多いという理由以外でヴェネツィアを嫌う人には、あまりお目にかかったことがない)。入り方は大体いつも同じで、まずマルコ・ポーロ国際空港(VCE ヴェネツィア・テッセラ空港)に飛行機で到着し、そこから本島へと向かう。空港自体はさほど大きくない。

以前は普通のターンテーブルだったように記憶しているのだが、昨年の晩秋に行ったときはカジノのルーレット柄になっていた。

空港から本島への行き方はいくつかあるが、まずATVOの空港シャトルバス。これは空港とヴェネツィアのローマ広場を結ぶバスで、先ほどウェブサイトで確認してみたら片道8ユーロ、往復15ユーロだった。往復チケットは2〜9枚買うと13ユーロ、10枚以上まとめて買うと11ユーロに割引される(片道チケットも同じく2〜9枚で7ユーロ、10枚以上で6ユーロの割引料金になる)。参考までにウェブサイトはこちら。

http://www.atvo.it/it-venice-airport.html

陸路はけっこう早く着くので深夜に到着した場合や時間がない場合などは、このバスを利用するのがいいかもしれない。問題はローマ広場に着いてからで、そこから先はスーツケースとともにヴァポレットと呼ばれる水上バスに乗る必要がある。なにしろヴェネツィアにはクルマというものが走っていないのだ。

宿がローマ広場の近くなら歩いて行けるのであまり問題ないが、人が多い時間帯、ハイシーズンなどの水上バス利用はけっこう大変だ。予算が潤沢にあるのなら水上タクシーの利用をおすすめする。島の中央を通るグランド・カナルに面したホテルであれば、たいていの場合、ホテルのエントランスに直でつけてくれる(ヴェネツィアのパレスはもともと運河側が正面玄関となっている)。

もうひとつの方法はALILAGUNA(アリラグーナ)という会社の水上バスで空港から本島へ向かう方法。2017年9月現在、料金は片道15ユーロ、往復27ユーロ。オンラインで事前購入すれば片道14ユーロ、往復25ユーロに割引される、とある。アリラグーナのウェブサイトはこちら。

http://www.alilaguna.it/

本島へ行く路線はレッド、ブルー、オレンジの3系統。空港シャトルバスと違い、乗り換えがないのが利点だ。自分の宿泊するホテルに近いバス停をチェックして、そこで降りればいい。ただし時間はかかる。空港からサンマルコ広場までは、ざっと1時間半ほどだろうか。バス停を降りてもそこはあくまでもヴェネツィアであって、スムーズにホテルまでたどり着けるとは限らない。迷路のような路地と橋が待っているからだ。Googleマップ必須。

このアリラグーナのバスターミナルが新しくなっていて驚いた。以前は到着ロビーから外へ出て駐車場沿いの歩行者用通路(一応屋根はついている)をひたすら歩いていくということになっていた。バスターミナルといっても突堤みたいなものがあって、そこに戻ってきた水上バスが停まるだけ。ところがチケットカウンター(到着ロビーに出て左方向にある)で往復チケットを購入すると、係の人がこう言うではないか。

「上階に上がって通路をまっすぐ行くと、その先にターミナルがありますから」

ちょっと待て、上階に上がる(Go upstair)ってなんだ。そう思いながら歩いていくと、たしかにエスカレーターがある。上がりきると、たしかにそこは通路になっていて、動く歩道もついている。

(これは帰りに撮った写真で進行方向が逆。窓を左手に見て進んだ先にあるのは空港である)

突き当たりにまたエスカレーターがあり、下りるとそこには巨大な(昔と比べればだが)バスターミナルがあった。ターミナルの配色はサンマルコ広場の鐘楼をイメージしているのだろう。

あまりにモダンなたたずまいに、またしてもうーむ、と唸ってしまった。たしかにきれいにはなったけれど昔のターミナルを気に入っていた自分としては、ちょっと残念なできごとだったのである。

(※各種交通機関の料金、タイムテーブル、所要時間などは念のため各自でご確認ください)