猛禽系彼女


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夏前には「秋までは隠居生活をする」などとほざいていたのだが、気がついたら映画館に行くことすらままならない状態になっていた。
というわけで昨日は打ち合わせのあと、強引に時間を作って数ヶ月ぶりに映画など観た。
「Night Train to Lisbon」という、ベストセラーを映画化した作品。しかし「リスボンに誘われて」という邦題は、これでいいんだろうか。

超簡単に言うと「偶然出会った一冊の本に導かれて旅をする、初老紳士のロードムービー」なのだが、とにかく人物配置が上手い。
過去と現在をフラッシュバックする手法も上手いし、キャストもなかなか魅力的。しかし、この映画を観てリスボンへ行きたいと思う人は、あまり多くないかもしれない。

この初老紳士のロマンスがストーリーに彩りを与えていて、観客はだから「独裁時代のポルトガル」という、もうひとつの暗い話に、違和感なくついていくことができる。
このあたりの構造は、ジャンルは全然異なるけれども「Pan’s Labyrinth」とちょっと似ている。

ところで、物語のカギを握る青年医師の妹を演じていた女優(正確には年老いた、現在の妹役の方)には、どこかで見覚えがあった。
上目遣いの猛禽類のような目、とくに左目。しばらくして思い出したのだが、彼女はあのクール・ビューティー、シャーロット・ランプリングだった。

最初にスクリーンで観たのは、’82年の「評決」だから、もうかれこれ32年前。そりゃ年も取るわけである。でも、老女になってもシャーロットはチャーミングだった。
「Man of Steel」でスーパーマンの母親役を演じたダイアン・レインも相変わらずいい女っぷりだったし、思わぬところで往年の美人女優と出会うのは、なかなかいいもんである。

(Originally posted on 10.11.2014)