「日本人は何を捨ててきたのか」


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「哲学者・鶴見俊輔が語る 日本人は何を捨ててきたのか」をYouTubeで観た。聞き手は作家の関川夏央。1997年に放映された番組なので、当時鶴見さんは75歳、関川夏央は48歳。

同じタイトルで書籍もつくられた。現在はちくま文庫に入っている。


(画像via Amazon)

未来に対して基本的に明るい展望をもつ鶴見さん、あくまでも懐疑的というかアイロニカルな姿勢を崩さない関川夏央、という対比もなかなか面白い。ただ、このときの鶴見さんはちょっとよそ行きというか、逸脱がなく、その点ちょっと物足らない。

番組を観ればいいことなので多くは書かないが「失敗を忘れない消極的能力」「真実は失敗から導かれる」「明治以降のシステムに囚われない個人は沖縄から出る」など、いや、まったくその通りですね、という話が中盤以降どんどん出てくる。

鶴見さんは「戦前のような状況にはもうならない、これから日本にも個人があらわれる」と語るのだが、この予想は大きく外れた。懐疑的な関川夏央が正しかった。

鶴見さんの著書を多く編集した黒川創との対談「戦後日本 人民の記憶」では母親、親族などにも言及するシーンもあり、より感情があらわれている。鶴見さんらしさが感じられるのは、こちらの対談だろう。

とはいえ「日本人は何を捨ててきたのか」も江戸時代以降の日本人論、日本における個人論という意味で興味深い。

こうした昔の番組はたいていYouTubeに上がっているものを観るわけだが、少なくとも公共放送がつくった番組は誰でも無料で観られるべきであると思う(個人的には一歩進めて民放も、そうあるべきだと思う)。現実はどうかというと、NHKは受信料を徴収しておきながらDVD、NHKオンデマンドという形で番組を販売しているのである。

なんという矛盾、なんという強欲資本主義かと思うが、それがまかり通ってきたのが我々の社会なのだ。今回観た番組流にいえば「日本人が捨てなかったもの」がここにある。