30年来の誤解、ようやく解ける


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「ストック・エイトケン・ウォーターマン」というプロデューサー・ユニットがあった。手がけたアーティストにはカイリー・ミノーグ、リック・アストリー、シニータ、デッド・オア・アライヴ、メル&キム、バナナラマ、サマンサ・フォックスなどがいて、80年代と90年代、トップ40に送り込んだ曲は軽く100曲を超えるという。


(イギリスのTV局ITV1が2012年に制作したドキュメンタリー。サムネイルが整形後のピート・バーンズというのが微妙だが、内容はよくまとまっている)

多くの曲に共通しているのは100〜120BPMくらいのテンポ、4キック、シンセサイザーによるグロッシーな音づくり。音楽的にはペラペラだなと思いつつ基本ミーハーなので、けっこうよろこんで聴いていた。最初に意識して聴いたのはバナナラマの「Venus」あたりだったような気がする。

PWLレーベルで歌っている人たちは基本アイドルだと思っていたのだが、当時雑誌かなにかで「バナナラマが『3人揃ってユニゾンで歌うだけのグループ』と言われて憤慨している」という記事を読んだ。憤慨もなにも事実じゃないのか、とおかしく思ったことを覚えている。

バナナラマがオリジナル・メンバーで再結成というニュースは昨年の春ちょっとだけ話題になった。オリジナル・メンバーってどういうことかというと、88年にユーリズミックスのデイヴ・スチュアートと結婚、脱退したシヴォーンが正式に戻ってきたということらしい。


(2017年春のインタビュー)

公式ウェブサイトなど見て初めて知ったのだがバナナラマはじつは解散しておらず、サラとカレンのデュオという形で活動を続けていたのだった。彼女たちのプロモーション・ビデオは「Cruel Summer」しか観たことがなかったのだが、これは初期のヒットでストック・エイトケン・ウォーターマンがプロデュースする前。この頃はミディアム・テンポの曲が多く、まったく雰囲気が異なる。

あちこちのインタビュー記事を読んでみたところバナナラマのメンバーはファッション・カレッジに通っていて、結成当初目指していたのはシュープリームス、マーヴェレッツなど、モータウンの女性グループだったそうだ。曲なども自分たちで書いていたという。それを80年代初頭のイギリス的ファッションで演ったところに彼女たちらしさがあった。個人的にはこの頃のバナナラマの方が圧倒的に好きである。

といいつつ音楽ギョーカイは売れることが正義なので(これはどこも同じか)、バナナラマはストック・エイトケン・ウォーターマンのもと、超ポップな流行りものグループとして復活。バナナラマのような低迷期はなかったものの、当時同じような経緯を経たグループとしてはワム! があったように思う。日本で最初に話題になったのは1983年の「Bad Boys」で、このときは80年代的な音づくりながら硬派系、アメリカの不良スタイル(イギリスでは戦後アメリカのロカビリースタイルが流行った時期があった)のビジュアルで演っていた。

そのワム! が翌年には黄色い指なしの手袋を嵌めてステージで踊り狂っていたのである。これはいったいどうしたことなのだ、とさすがに思った。

というわけでバナナラマに対する誤解は30年以上経ってようやく解消されたのだが、初期バナナラマの魅力に長年気づかずにいたことは、ちょっともったいないことだった。ところで「ユニゾンで歌うだけのグループ」っていう評価は(多少口は悪いけれども)まんざら的外れでもないと今でも思う。