あまり積極的でない「陸マイラー」のすすめ


『マイレージ、マイライフ』という映画があった。主演ジョージ・クルーニー、共演アナ・ケンドリック、2009年。

マイレージ、マイライフという映画、原題は『Up in the air』という。また飛行機に乗っているという意味と「宙ぶらりん」という意味をかけているのだろう。クルーニー演じる主人公は私生活も真剣な人間関係もなにもなく、そのことに次第に疑問を感じるようになっていく、というストーリーだった。

ところでマイレージを貯めるという発想は長い間まったくもっていなかった。なぜなら毎回最安チケットを選んで買っていたからである。マイレージはひとつの航空会社を使い続けないと貯まらない。第一、’90年代初頭には航空会社のアライアンスというものは、まだ存在していなかった。マイレージサービスという存在も、さほど一般的ではなかったと思う(その代わりと言ってはなんだが、機内で喫煙できたり、復路便のリコンファームが必要だったりした。なんというか隔世の感がある)

当時、格安チケットは専門のブローカーから買っていた。マンションの一室で営業していて、登録しておくと定期的にエアチケット情報をファクスで送ってくれる。その後、HISを利用するようになったが、このときは担当が決まっていて、その人に相談すればよかった。

国内出張で飛行機を使うようになってからも相変わらずマイレージを貯めるという発想はなかったが、年を取るにつれて移動が億劫になってきた。昔はクルマでどこまでも行ったのだが(アホだったとも言う)、今では250㎞以上先へは行きたくない。東京からだと浜松あたりが限界である。人間は誰しも堕落するものだ。

高速料金とガソリン代が高すぎる。事故や渋滞に巻き込まれる可能性がある。時間もかなりかかる。クルマと運転は好きだが交通状況はかならずしも快適ではない。等々。高速道路が無料でガソリンの税金がなくなれば(ガソリン税+消費税の二重課税である)とも思うが、そうなったら高速道路は大渋滞になってしまうだろう。

新幹線という手もあるが、あいにく今住んでいる家からは最寄り駅へのアクセスがあまりよくない。新幹線には早割などのサービスもなく、チケットレスサービスもない。些細なことを気にしすぎだと言われるかもしれないが、シートの質も年々悪くなっているように感じられる。

だったら飛行機で行った方が安いし早いし便利である。最寄りの空港から市街地へは高速バスなどが出ていて案外アクセスにも困らない。福岡空港のように交通至便なところもある。

という状況になってきて、初めてマイレージカードを持とうかと思うようになった。海外へ行くときもチケットは相変わらず格安を買うのだが(往復10万円を超えないこと、というのが昔から変わらぬ基本方針で欧州便で13万円と聞くと高い、と思ってしまう)アライアンスというものができたおかげで、たいていの場合JALもしくはANAのカードにマイレージを移行することができる。(チケット区分が格安なので、たいしたポイントは貯まらないのだが)

あとはクレジットカード機能付きのマイレージカードでひたすらカード決済をする。飛行機に乗らずにマイルを貯める人のことを「陸〈おか〉マイラー」と呼んだりするらしいのだが、遅ればせながら自分もそのひとりとなったわけである。思いたったときに利用していた便がJALだったので、とりあえずJALカードを作ってみた。JALカード TOKYU POINT ClubQ。

https://www.jal.co.jp/jalcard/card/top.html

普通カードの年会費が税込2160円、ショッピングマイルが2倍になるショッピング・マイルプレミアムが税込3240円。PASMO、WAONと紐付けて使うことができ、WAONはチャージと支払で2回マイルが貯まる。(WAONは税金などの支払いにも使える。以前はPASMOのオートチャージでもマイルが貯まったのだが、このサービスは今はない)東急各店で支払うと東急ポイントも貯まり、東急ポイントをマイレージに移行することも可能。

公共料金、各種支払いなども同じカードにまとめておくと、なんだかんだでいつの間にかマイルが貯まっている。どうせ払うことに変わりはないのだから、これを利用しない手はない。(各種ポイントサイトを利用して何百万マイルと貯める人もいるらしいが、そこまでの情熱はない←興味のある方はGoogleなどで適宜検索お願いします)

マイルの還元率がさらにいいカードとしてはセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカンエキスプレス・カードがある。個人事業主向けだが一般の人でも作れるらしい。こちらは年会費が21600円かかるが、年間200万円以上の支払があれば年会費半額。事業用決済などで余裕で200万超えるという人は、こちらを検討してもいいだろうと思う。

(海外のラウンジが利用できる「プライオリティパス」も無料で追加発行可能。 ※追記:当初プライオリティパスの無料発行はなくなったようだと書いたが、このサービスは継続されている模様。訂正しました)

マイルを特典航空券に替えるのは遠くの国内が得、というのが利用してみての個人的感想である。より具体的に言うとほとんど羽田〜那覇便限定で使っている。1回だけヨーロッパ便の特典航空券を利用したことがあるが、団体客が多いのと丁寧すぎる接客が疲れるのとで、これはあまり自分には向いていないと思った。

沖縄便はディスカウントマイルが適用されるローシーズンを狙って利用。現地では那覇を拠点にすることがほとんどでビジネスホテルが安い(早割で一泊5000円ちょっと、という宿がけっこうある)、レンタカー料金がリーズナブル(同じく早割で1日3000円くらい)というのも魅力的だ。沖縄の何がそんなに気に入ってるのか、という話は近いうちに書こうと思う。

というわけで海外でも国内でも貧乏旅行に徹するという点はまったく変わらない。年を取ったこともありドミトリーなど極端な安宿には泊まらなくなったが、1泊の料金は国内で5000円、海外で1万円というのが目安となって久しい。予算を超える宿は高いなあと思いながら予約している。人間、自分の身の丈に合った旅しかできないようになっているのである。