ジョン・ボーナムがようやくわかったという情けない話
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昔のハードロック好きにはLed Zeppelin派とDeep Purple派というふたつの派閥があった。音楽的に高尚なのはZeppの方で、ZeppファンにとってPurpleは子どもっぽく、逆にPurpleファンにとってはZeppというかジミー・ペイジのギターは下手すぎる、というのが定説だったように思う。
’70年代にギターを弾き始めた人でHighway StarやBurnを弾けるようになるのが最初の目標だった、という人は多かっただろうし、最初に弾いたのがSmoke on the Waterのリフだったという人はさらに多かったと思う。それと比べるとZeppの曲はバンドアンサンブルとして聴くものという印象で、個人的にはあまりコピーしたいと思わなかった。Zepp派の知性主義に対する反感もあったような気がする(これが私の悪い癖)
自分にとってPurple最大の魅力はライヴでのインタープレイで、より具体的にはリッチー・ブラックモア、ジョン・ロード、イアン・ペイス、この3人の演奏力(プレイアビリティ)の高さだったように思う。曲はWoman from TokyoやLazyのようなシャッフル系の曲の方がよいと思っていた。では第二期Purpleが一番好きなのかというとそんなことはなく、今聴いていいなと思うのはトミー・ボーリンが弾いているアルバムだったりする。きっと聴いているポイントが人とズレているのだろう。
というわけでZeppに関してはひととおり聴いていたものの、決して大ファンというわけではなかった。ところが先日YouTubeのあるビデオを観て「へえ、そうだったのか」と感心させられた。タイトルはWhat Makes John Bonham Such a Good Drummer?(ジョン・ボーナムを素晴らしいドラマーにしたのは何だったのか?)といい長さは10分弱。よくまとまっている。
要約すると
1)ベースドラムも含めた三連符のアクセント
2)ジーン・クルーパ、バディ・リッチなどジャズ・ドラマーからの強い影響
3)ファンク(とくにジェームス・ブラウン)から採り入れたシンコペーションとグルーヴ
4)ベースではなくギターリフとシンクロしたプレイ
5)4/4拍子のドラムに3/4拍子など拍子違いのギター/ベースを載せたリフ
といったところだろうか。ビデオでは「ボーナムがあらわれるまで、こうしたジャズ・ドラマーのプレイとハードロックを結びつけた例はあまり多くなかった」と解説されている。ちなみにジーン・クルーパとバディ・リッチのプレイはこんな感じ。
で、ジョン・ボーナムのプレイとリフとのシンクロを意識して聴くと、たしかにめちゃくちゃスリリングなのだった。今まで一体何を聴いていたのかと情けなくなってくるが、10〜20代の頃はどんな曲を聴いてもボーカルとギター(あるいはほかの主旋律楽器)しか聴いていなかったのだから仕方がない。
そんな感じでドラムとリフの関係を意識しながら聴いていたら、これはすごいという曲を例によっていくつか「再発見」した。たとえば渡辺香津美のUnicorn(1980年)。ドラムはスティーブ・ジョーダン、ベースはマーカス・ミラーで8小節、16小節のパターンを意識しながら聴くと非常にいい。こういう曲、ほかにもたくさんあると思われる。(追記:なぜかドラマーをオマー・ハキムと勘違いしてたので、訂正しました)
ドラムサウンドもしっかり聴かんといかんなあ、今からドラム習ったらどれくらい叩けるようになるんだろかと思っていたら、こんなのがYouTubeに上がっていた。
単なるコピーじゃダメで、音楽はやっぱりグルーヴ感だと再認識した。叩いているのは「よよか」ちゃん8歳である。