どうでもいいような、よくないような話


海外旅行(プライベートで行っても気分はつねに取材)は長年、カメラバッグ+スポーツバッグ+折りたたみ式キャリアというスタイルだった。

その後、思うところあって写真撮影をしなくなり、初めてスーツケースというものを買った。バートンのウイリー・ダブル・デッキ、2ウィールのソフトラゲッジタイプ。容量70Lくらいでフレキシブル・ハンドルつき、なによりウィール内蔵だから、それまでのように折りたたみ式キャリーにバッグを縛りつけなくていい。唯一の欠点はバッグ自体の重量が5㎏を超えること。

元々荷物は軽い方なので、とくに問題なかったのだが(取材でもらった紙資料や書籍を詰め込んでも16㎏を上回ることはなかった)ラゲッジ自体が軽ければもっとラクなのでは、と思い、数年前にSamsoniteのCosmo Liteというスーツケースを入手した。容量94Lで重さわずか2.6㎏、サムソナイト独自のCurv素材(ポリカーボネート)で、象が踏んでも壊れない。

軽さは正義。
だが完璧に思えたCosmo Liteにも死角はあった。フレキシブル・ハンドルの支柱が1本しかないことである。身の回り品を入れたバッグを載せづらいのだ。最初期型のCosmo Liteはハンドルの支柱部分に伸縮式ワイヤー(普段はスーツケース本体に収納)を掛けることでバッグを載せやすくしていたが、この機能はモデルチェンジを機になくなってしまった。

海外へ行く場合、身の回り品は2Wayボストンに入れていく。このバッグは座席下に無理なく収まるサイズで、スーツケースのハンドルに通すためのスリーブがついている。ところがCosmo Liteのハンドルはバッグの脱着時にかならずと言っていいほど引っかかってしまうのだ(スーツケースの本体形状に合わせてハンドルバーが湾曲しているため)。移動時の安定感にも欠ける。

とはいえ、4輪スピナーはやはり取り回しがラク。2輪ウィール・タイプが勝るのは凹凸のある石畳とか石畳の坂道くらいだ。Cosmo Liteには軽さという絶対的アドバンテージもあり、バートンのダブル・デッキには、なかなか戻りにくい。

どうしたもんかと思うのだが、こいつは踏んでも落としてもクルマで激突しても大丈夫なヘビーデューティーが売りであって「壊れたから買い換え」となる確率は、今のところきわめて低い。かといって70Lクラスのスーツケースを買い足すというのは非効率にすぎる。第一、置き場所に困るのである。

他人にとってはどうでもいいが、本人にとってはけっこう悩ましいという問題は、世の中にいろいろある。自分にとってはスーツケースのハンドルが、それにあたるのかもしれない。