古今東西カバー曲はいろいろあれど、オリジナルよりいいなと思わせるものはあまり数が多くない。カバー曲だと認識されていないものも多くて、たとえばジミ・ヘンドリクスの「All Along the Watchtower」はボブ・ディランがオリジナルだが「Hey Joe」もカバーだと知る人は少ないかもしれない。ほかにもシンディ・ローパーの「Girls Just Wanna Have Fun」、アレサ・フランクリンの「Respect」といった曲もカバーで、この2曲はいずれも元曲は男性が歌っている(Girls〜はロバート・ハザード、Rispectはオーティス・レディング)
(女の子たちはただ愉しみたいだけなのさ、と男が歌うと全然違う曲に思えてくる)
チャカ・カーンの「I Feel for You」もセンスいいカバーだった。この曲はプリンスがオリジナル。
曲と本人との相性、ヒットした/しなかったなども大きな要素だと思うけれど、大ヒットしなくてもセンスのよいカバーはたくさんある。 Leika & the Waitersのアルバム「Lady Madonna」は全編ビートルズのカバーで演奏はアコースティック・ブルースという、いかにも「アンプラグド」の流行った90年代的アレンジ。なかなかよいアルバムだったと思う。
(画像 via Amazon。1994年発売だがCDは当然廃盤)
ホール&オーツのカバーというと80年代にポール・ヤングが歌った「Every Time You Go Away」がヒットしたが(ダリル・ホールがアルバム「Live at the Apollo」でオレたちがオリジナルだ=ポール・ヤングのカバーじゃないんだぜ、と強調していたのが痛々しくも面白かった)2000年代に入ってからもけっこうカバーされている。オリジナルのヒットから30年近く経って、ちょうどいい頃合いになったのだろう。まずはThe Bird and the Bee。
この曲が収録されたアルバム「Interpreting the Masters Volume 1: A Tribute to Daryl Hall and John Oates」はタイトルのとおり全曲ホール&オーツのカバー。LA出身の2人組ユニットという構成は前に紹介したKnowerにも通じるところがある。
あとは最近見つけたこれ。
演奏してるのはNicki Bluhm and The Gramblersで、バンドがツアーに使うようなヴァンのなかで演奏しているのが面白い。彼らはいろんなアーティストの曲をヴァンのなかで演奏していてYouTubeにミックス・リストもある。ヴォーカルのニッキーは声質のよいアルトで、曲のキーもいちばんいい音域が出るように変えたりしているのだろう。
これはポール・マッカートニー&ウイングスの「Band on the Run」。ピアニカも動員しての演奏でコーラスもなかなか聴かせる。どことなくユーモラスなのも、このバンドの持ち味だと思う。バンドワゴン、というフレーズからある90年代の映画を思い出したのだけれど、それについてはまた別のエントリで。