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11月に行った講演会とその感想 Part 3 (その1)

11月8日水曜日、映画『この世界の片隅に』の海外渡航報告会に行ってきた。

クラウドファンディング第2弾 ─ 映画『この世界の片隅に』の海外上映を盛り上げるため、片渕監督を現地に送り出したい ─(長い)に「イベント参加権」つきでファンドした人が参加できるもので、そのほかに海外渡航報告書なども送付してもらえるという。昨年の12月8日に初めて映画を観てすぐにファンディングした。自分の場合、思うところの半分くらいを占めていたのは本名で活動できなくなってしまった「のん」こと能年玲奈さんを応援したいという気持ちだった気がする。(ちなみにぼくは地上波テレビや邦画を見ないので『あまちゃん』という作品の存在は知ってはいるが、動いている能年玲奈を見たことはほとんどない)

当初はたしか海外渡航報告会が5月、報告書送付が6月の予定だったが、映画が異例のロングランとなり海外展開も好調、さらにDVD化にあたって全体の2割弱をリテイクする(それにしてもすさまじい)など、諸々の事情があって11月まで後押しになった。

 


(片淵監督のリテイクに関するTweet)

海外渡航報告会の案内がきたのは8月末になってからのことで、全11回のなかから行きたい回を選ぶというスタイル。第3希望まで申請することになっていたが、運良く第一希望の11/8牛込箪笥区民ホールの回にあたった。報告会の全日程は以下のとおり。

《横浜》 11/4(土)開場13:00/開演13:30横浜市教育会館
《仙台》 11/5(日)開場13:00/開演13:30宮城野区文化センター パトナシアター
《東京・新宿区》 11/8(水)開場18:30/開演19:00牛込箪笥区民ホール
《東京・板橋区》 11/11(土)開場11:00/開演11:30板橋区立グリーンホール 2階ホール
《東京・板橋区》 11/11(土)開場14:00/開演14:30板橋区立グリーンホール 2階ホール
《東京・杉並区》 11/18(土)開場15:00/開演15:30西荻勤労福祉会館
《東京・杉並区》 11/18(土)開場18:00/開演18:30西荻勤労福祉会館
《福岡・博多》 11/23(木・祝)開場15:00/開演15:30ももち浜SRPホール
《広島》 11/25(土)開場16:30/開演17:00エソール広島
《大阪》 11/26(日)開場11:00/開演11:30大阪YMCA国際文化センター ホール
《名古屋》 11/26(日)開場17:00/開演17:30JPタワー名古屋

牛込箪笥区民ホールは一度も行ったことなかったのだが、なんというか小さな町の図書館か、ホールつき公民館といった風情である。


(これはこれで作品世界に合っている気がする)

15分くらい前に会場入りしてみると、もうすでにかなりの人が並んでいる。年齢層は下は30代から上は60代、70代くらいまでという感じでかなり幅広い。やや男性が多めなのは平日夜の回だからだろう。開場して席についてみると、場内には映画のサウンドトラックが流れていた。ステージの上には長机がふたつとマイクが4本。事前配布された資料に報告会の次第が書かれていたが、海外の映像リポート、その合間に片淵監督&ゲストによるトークが入るというのが基本構成のようだ。時間はトータルで90分というから、講演会の標準スタイル(120分で途中休憩10〜15分)と比較してもかなり短い。司会はDVD、Blu-rayのオーディオコメンタリーと同じ制作宣伝の山本和宏さんである。

最初は海外版予告編の上映から。ワールド・オフィシャル(英語)、台湾、ドイツ(ドイツ語吹き替え版)、フランス(フランス語吹き替え版)と4連続で観たが、フランス語版だけ編集・構成が異なっている。ストーリーの着目点というかアピールしたい点が明らかに違うのだが、これがとてもよくできていて感心した。視点のもっていきかたが大人なのだ。フランスはアニメも含めた映画全般に対するリテラシーが高い。予告編の最後は水原の台詞(たぶん)で終わるのだが、これも日本版含め、ほかの予告編ではありえなかった構成だ。


(フランス版の予告編だが、これは吹き替え版のものではない模様)

そのあと片淵監督とゲストが登場。(だったと思うのだが、もうひと月以上前のことなので細かい段取りなど間違っているかもしれない)


(ゲストの顔ぶれは回によって変わったが、この日は片淵監督、真木プロデューサー、翻訳・監修・制作担当の兼光ダニエル真さんという顔ぶれだった)

ちなみに11月8日は渡航報告会が通算3回目、あと4日で映画公開から1周年という、そういうタイミングである。
映像リポートは2/22-25のメキシコ、3/14-16の香港、6/29ロスアンゼルス、7/7台湾といったあたり(約11分)からスタートした。

「メキシコでは最初、いわゆる宣伝キャンペーンという形で華やかにプロモーションをおこないました。ところが一般のお客さんたちと話をする時間があまりないなということに気づいたんです。もっと違うかたちにしたい、ということで宣伝活動も徐々に軌道修正していきました」と片淵監督。舞台挨拶→本編上映→質疑応答→サイン会という日本と同じ流れにした方がいいのでは、ということで香港以降はこの構成が基本となったようだ。

映像リポート第2弾は6/11-19のフランスアヌシーでの様子。アヌシー国際アニメーション映画祭に合わせての渡仏で、映画祭では「長編部門 審査員賞」を受賞した。上映後近くのカフェで即席サイン会を開いたが、みんななぜか日本の色紙をもっていたこと、「通じるものなんだな」と実感したことなど、現地でのエピソードも紹介された。コメントはちょうどオーディオコメンタリーのような感じで映像に被せて話していくのだが、初見の海外レポートを観ながら(当然こちらにも音声が収録されている)コメントも同時に聞き取るというのは、けっこう厳しいものがあった。どちらかを捨てないことには話の内容が聴き取れないんである。この点、他の人たちもそうだったのではとちょっと気になった。

映画本編と同じでとにかく情報量が多い。というわけで、海外渡航報告会レポートも(その2)につづきます。

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