コービー・ブライアントが事故死したとのニュース。搭乗していたヘリコプターが現地時間9時47分に墜落炎上し、乗員9名が死亡(27日午前現在、5名との報道も混在)したという。
犠牲者にはコービーのほか、娘(次女)のジアナ13歳も含まれていたそうだ。ふたりの会話からアニメーション映画が生まれ、その作品が2018年のアカデミー賞を獲った、という話は以前ここでも書いた。
トランプが例によってTwitterでコメントし、その内容のひどさが早速批判されているが、もうひとつろくでもない間違いをしたのがBBC。夜10時のニュースでコービー事故死のニュースを伝えたのだが、そこで流れるのは現在LAレイカーズに在籍しているスタープレイヤー、レブロン・ジェームズの映像なのだった。
(「10時のニュースでこれを流すとは、本当に信じられない」とのコメントだが、たしかにそう思う)
ちなみにこの件、BBCは謝罪したそうである。
このニュースを見て、ふとTop of the Pops(TOTP)の間違いシーンを思い出した。1982年10月に放送されたもので、出演しているのはディキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ。歌っている(といってもTOTPは口パクであるが)のはヴァン・モリソンのカバー「Jackie Wilson Said」だが、背後のスクリーンに映し出されているのはチェス・プレイヤー「Jocky Wilson」の顔写真。
ところがガーディアンの記事によると、これは間違いではないようなのだ。
https://www.theguardian.com/music/2012/mar/27/jocky-wilson-other-rock-myths
(2012年3月に掲載された記事)
以下、記事中にあるミッドナイト・ランナーズのヴォーカル、ケヴィン・ローランドの説明。
“For a laugh, we told the producer to put a picture of Jocky Wilson up behind us,” he told the Guardian in 2002. “He said: ‘But Kevin, people will think we made a mistake.’ I told him only an idiot would think that. The morning after, the [Radio 1] DJ Mike Read said: ‘Bloody Top of the Pops. How could they mix up one of the great soul singers with a Scottish darts player?'”
「笑えるからプロデューサーにジョッキー・ウィルソンの写真をおれたちの後ろに映せって言ったんだ」とローランドは2002年ガーディアンに語った。「プロデューサーが “しかしなあケヴィン、視聴者はおれたちが間違えたって思うんじゃないか” とか言うんで、おれは、そんなふうに考えるやつはバカしかいないぜって言ってやったんだ。翌朝、マイク・リード(→Radio1のDJ *Radio1はBBCのラジオ局)が“TOTPはひでえ。どうやったら偉大なソウル・シンガーとスコティッシュのダーツ・プレイヤーを間違えたりできるんだ?”って言ってたな」
ケヴィン・ローランドの基準によれば、リードはまごうことなきバカということになる。もちろんBBCが本当に間違えて、あとでローランドがそれを二重にひねったジョークとして使っている、という可能性も否定はできない。記事によると、この事実が2002年まで明らかにならなかったのは、真意の読めない、不可思議な(inscrutable)彼を恐れて誰も真相を訊けなかったためではないか、とのことだが、さてどうだろう。
コービーとレブロンを混同したのは明らかにBBCのミスで、これはさすがにあとからジョークのネタにはなりそうもない。その意味でTOTPのTV Bloopersには罪がなかったとも言える。コービー・ブライアント追悼のはずが、また話が横道にそれてしまった。