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RIMとJawboneについて思うこと | 本と映画とMusic
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RIMとJawboneについて思うこと

クルマで移動しているときは、長いことイヤホン型マイクを使っていた。といってもイヤホン型マイクで操作する特殊なクルマに乗っていたのではなく、携帯電話で通話するときにイヤホン型マイクを利用していたという意味である。雑誌の仕事をいくつも掛け持ちしていた頃は、かかってくる電話も多く、クルマで移動している時間は、さらにもっと多かった。

ガラケー時代は有線のイヤホン型マイク以外選択肢がなかったのだが、スマートフォンが登場してくると、ついにワイヤレス通話が可能になってくる。自分の場合、2009年に携帯をBlackberry Boldにしたのと同時にBluetoothのヘッドセットを使うようになった。最初に購入したのはJabraのBT4010、その後しばらくしてIqua Bladeという製品を使ってみたが、これは今ひとつだった。こんな感じのヘッドセットである。


(左がJabra BT4010、右がIqua Blade。ヘッドセットとしての使い勝手はBT4010の方がよかった)

なんでこんな細かいことを覚えているかというとBlackberry Boldにペアリングされたデバイスのリストが残っていたからだ。何の気なしに電池を入れてみたら普通にBlackberryの電源が入ったのである(7年くらい放置してあったので、これにはちょっと驚いた)。電池レベルはほとんどゼロだったので、とりあえずUSBで50%くらいまで給電。ドック&USB給電仕様としたRIMは偉い。


(時計がAM4時台になっているのは電波が受信できず、PCとも同期していないからだと思われる)

話が少しズレたが、なにかいいヘッドセットはないのかと探して、たどり着いた最適解がJawboneというメーカーのICONというヘッドセットだった。Blackberry用のアプリを入れると接続時にヘッドセットのアイコンが表示されたが、iPhoneのようにバッテリー残量が表示される機能は、ついに搭載されなかった気がする。そのICON、まず最初に1個購入し、気に入ったので、しばらくしてから自宅用にもう1個買い足した。その間にシステムがアップデートされ、起動時に喋ったりするようになっていた。声の変更など、各種設定はすべてPC〜インターネット経由でおこなうシステムで、ウェブサイトはこんな感じだった。


(いろいろ機能があったのだが、Blackberryや日本語では使えないものが多かった)

その後、雑誌の仕事をほとんどしなくなったのでクルマに乗っているときにヘッドセットを使う機会もめっきり減った。もともと自分から電話をかけたりする方ではないので「移動中に電話がかかってきても出ない」→「移動先に着いてから折り返す」というずぼらな運用スタイルとなったわけである。そのまま現在に至るわけだが、最近になって携帯に電話がかかってくる頻度が高くなるかもしれないという事案が発生し(要は仕事の業態が少し変わってきたのだ)再度これはヘッドセットを使った方がいいかもしれないと思い始めた。

で、押っ取り刀でICONを充電し、設定しようと思ってネットを検索してみたところ、なんとJawboneは昨年2017年夏に破産したというではないか。ホームページもとうの昔に消滅しており、ICONの設定変更は不可能だということが判明した。倒産時の状況についての記事はこちら。

http://oneboxnews.com/articles/jawbone-is-died-2017-7
(Onebox Newsの記事)

なんでまたこんなことになったのかと思ってちょっと調べてみたところ、以前Jawboneの国内代理店をしていたトリニティ代表のブログがあった。全6回にわたって元・当事者の視点から詳しく書かれている。読んでみると、なるほどありがちな話なのだが、こんなことでブランドや会社が空中分解していったのかと思うと、なんともやりきれない気がした。

Jawboneがおかしくなるきっかけとなったのはウェアラブルデバイス「UP」がヒットしたことだった。投資家からの投資があると、その資金を回収するために短期で成果を出さなければいけなくなる。JawboneでもトップにMBAを取得した人材を据えたり、超有名企業からヘッドハンティングされてきた人たちが、自分たちのやり方を押しつけるといったことが次々と起きていったそうだ。ブログには、こんなふうに書かれている。

昔からいた人は居心地が悪くなるのか段々といなくなり、プロダクトや未来のサービスを一緒に興奮しながら話す人はいなくなり、マーケティングのチームがものすごく強くなっていきました。元Apple、元HPとかそういう人たちが、古巣ではこうやっていたということを押しつけてくるようになりました。しかし、今までよりは大きくなったとはいえ、Appleと比べものにならないブランド力ですから、同じ事はできないのです。それなのに、それをワールドワイドブランディングということで、日本へのローカライズは許さないと、我々にローカライズをさせないようになりました。

そんな折も折、UPに問題が起きる。6ヵ月での不良率30%超、保証期間となる1年では50%超という最悪の事態が発生してしまったのだ。にも関わらずヘッドハンティングされてやってきたアジア担当のセールスマネージャーは経営陣に売上げを2倍にするという無謀なプランを提示した。この話がさらにすごいのは、経営陣から2倍の売上げ増では少ないと言われた同じマネージャーが、最終的には「売上げを5倍にする」と宣言し、さらにこう言い放ったことだ。

「そういう計画を提出しなければ、私は入社した意味もないしクビになる」
「3年計画にしたので、3年後に計画が未達でも私は知らない」
「うまくいかなければ、また転職する」

Jawbone ICONもBlackberry Boldも、世の中に出た当時はとてもよい製品だった。それがICONの場合は会社自体が「今どきのシリコンバレー的経営方針」であっという間に沈没してしまい、Blackberryの場合はいっこうに進化しないソフトウェア、インターネット接続の遅さ(カナダにあるRIMを経由してネットにつながっているという話だった)などで時流に乗り遅れた。RIMの場合は「Blackberryは好評だ、このまま大きく変えない方がいい」という「変わることへの恐れ」もあったのかもしれない。

超有名企業からやってきたCEOだかセールスマネージャーだかが事業を台無しにし、責任も取らずに(だが莫大なサラリーは満額受け取って)さっさと次の企業へ転職していく。あるいは失敗を恐れて何も変えられず、ラインナップを放置するうちに時代に取り残される。同じような話は、いまや日本でも、世界でもごく普通のこととして繰り返されている。(たとえばAppleのラインナップなど、ジョブズがいなくなった前と後では、どれくらい変わったのだろう)

7年ぶりに起動したBlackberryを操作してみて感じたのは「日本語フォントがよくない」「OSの操作性が洗練されていない」「ソフトウェアも含めたエコシステムが貧弱」という3点だった。これでは遅かれ早かれユーザーは離れていっただろう。それでもRIMの経営陣は何もできなかった。過去の成功体験とは恐ろしいものだと思う。

充電してみたところICONはふたつとも健在で、バッテリーがダメになるまでは、このまま使えそうである。

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