JTのコマーシャルがテレビで流れなくなったのは、いつ頃のことだったのだろう。輸入たばこのコマーシャルとか、無意味に異国情緒にあふれていて、わりと好きだった。
’80年代後半、廃墟になったダンスホールにギタリストが入り込んでいく、というCMがあった。ギタリストがたばこに火をつけ、ステージの上で演奏を始めると、ダンスホールが昔の姿を取り戻す。曲はたしかヨハン・シュトラウスだった。もちろんこういうのも検索すればすぐにわかるのである。
フィリップ・モリスのL&Mマイルドという銘柄で、アップロードしてくれた人の情報によると’88年に放映されたCMだそうだ。曲は記憶どおりヨハン・シュトラウスで曲名は「皇帝円舞曲」、演奏しているのはなんとジェフ・ベックで、しかもアルバムに収録されているという。ただしジェフ・ベック名義のアルバムではない。
マルコム・マクラーレンの「Waltz Darling」というアルバムだが、調べてみると例の曲は国内版(すでに廃盤)のみに収められていたらしい。パーソネルにはジェフ・ベックのほか、ブーツィー・コリンズの名前もある。Amazonでは国内版は4400円からとプレミア価格がついていてデジタルデータの販売はなし。
iTunes Storeはというと日本国内、アメリカとも扱いはあるものの、探している曲(Rockin’ Waltzというタイトルらしい)は入っていない。YouTubeにも上がっていないようだ。
マルコム・マクラーレンはSEX PISTOLSの元マネージャーでたしか出自はファッション業界の人。L&MマイルドのCMを見て、これはCM用にスタジオミュージシャンが演奏した曲だろうと思っていたのだが、マルコム・マクラーレンが手がけていたとは知らなかった。時系列をチェックしてみるとCMが’88年、アルバム「Waltz Darling」のリリースが’89年で、CMの曲は日本盤だけのボーナストラック、とこうなる。
これらの状況証拠から判断してアルバム製作中にCM用の曲をオファーされたマルコム・マクラーレンがスタジオにいたジェフ・ベックやブーツィー・コリンズと一緒に作った、というあたりが正解のように思われる。
どこかに国内版ないのかと思いつつTSUTAYA DISCASを覗いてみたら、国内版らしきアルバムがあるのを発見。輸入盤と明記されているものと、明記されていない盤があって曲名リストはどちらもなし。旧い輸入盤かもしれないが、絶版になった国内版かもしれない。CMの曲が入っていたというレビュワーの書き込みもあって、可能性は高そうだ。
というわけで借りてみることにした。結果は後日。
(追記)レンタルしたCDは国内版でRock’n Waltzはレコード盤でいうところのA面とB面の間、5曲目に収録されていた。海外版の8曲に対して9曲。2分41秒もあったので、どうやって伸ばしたのだろうと思ったら「CMに使われた1コーラスのあとにリズムとベースのみのブリッジを入れて、そのあともう1コーラス」と、けっこう安易な構成になっていた。
CMで聴いたときほどの印象はなし。30年経ってアルバム探し出して聴いてみても、こんなこともある。