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Taking a Stand in Baton Rouge | 本と映画とMusic
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Taking a Stand in Baton Rouge

Taking a Stand in Baton Rougeと呼ばれる写真がある。2016年7月9日、ルイジアナ州バトンルージュで撮影されたもので画面左手には暴動鎮圧用のギアを着けた警官隊、中央右手にはロングドレスを着た女性が写っている。女性のところに重装備の警官2名が駆けより、いままさに逮捕しようとしているのだが、女性の表情はデモの最前線にいるとは思えないくらい静かで穏やかだ。

 

女性の名前はアイシャ・エヴァンスといい、ペンシルベニアで看護士として働いている。6歳の息子がひとりいる。いわゆるBlack Lives Matter(BLM)プロテストにおいて彼女の写真は運動の象徴的存在となった。1989年の天安門事件で戦車の前に立ちはだかった若者の写真が撮影され(たしか元になっていたのは映像だった)世界中で新聞の一面を飾ったが、それに匹敵する写真だと言う人もいたようだ。

同年7月22日にはガーディアンが記事を書いている。アイシャがデモに参加したきっかけ、アメリカ国内の政治状況についての考えなどがコメントを中心に的確にまとめられている。

https://www.theguardian.com/commentisfree/2016/jul/22/i-wasnt-afraid-i-took-a-stand-in-baton-rouge-because-enough-is-enough

アイシャはニューヨークのクイーンズ生まれ。18歳のとき夜勤の仕事から家に帰ろうとして警官に呼び止められた。白人の警官は身分証明書を提示しろと言う。「警官は私たちが売春婦じゃないかどうか、たしかめなきゃいけないんですよ、と言ったの」時間は深夜だったが、アイシャたちの服装はまったく「挑発的」ではなかったという。「私たちが白人女性だったら、そんな扱いを受けたんでしょうか。たぶん違っていたでしょう」

このできごとがきっかけとなり、アイシャは人種差別問題に自覚的になったそうだ。ペンシルベニアから南部のバトンルージュまで抗議活動に出かけていく原動力となったのは、このクイーンズでの経験、そして6歳の息子の存在だったという。インタビューのなかで彼女はオバマ大統領(当時)に対する失望も語っている。

記事のタイトルは「I wasn’t afraid. I took a stand in Baton Rouge because enough is enough(恐れなどなかった。もうこんなことは起きてはならないと世界に訴えるため、私はバトンルージュで抗議に参加した)」。この時点ですでにEnough is Enoughというフレーズが使われていたことがわかる。その後BBCもインタビューを中心とした短いドキュメンタリーを制作した。


(残念ながら自動生成の英語字幕は出ないようである)

ワシントンと全米各地では昨日から銃規制を求める学生たちの大規模デモMarch for Our Livesが行われている。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-43526413
(前日にはサクラメントで黒人男性が警察官に射殺される事件がまたしても起こった)


(ジョージ・クルーニーとアマル・アラムディンもマーチに参加したようだ)

日本の官邸前でもいま抗議行動が行われている。大手メディアや一般市民の反応はまだまだ鈍いと言わざるを得ないが、正義や反差別のために路上に立つ人がいる。

Twitterでは#RegaindemocracyJPというハッシュタグができて、韓国から応援メッセージが続々と届いたりもしている。

先日の朝日新聞のスクープで潮目が変わりつつある、と述べる人もいるが、まだまだ状況は予断を許さない。客観的に見れば日本の民主主義は棺桶に片足を突っ込んでいて、冷徹に判断するならほとんど心肺停止状態であると言っていいだろう。道のりは遠い。でも、それでも路上に立って歩くことから始めなければいけないのだ。アイシャの写真を見直して考えたのはそんなことだった。

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