外出は手ぶらが基本。ところが携帯電話が登場してからというもの、持ち物がどうもうまくまとまらなくなってきた。荷物を減らさねばならん。
キーリング、腕時計、財布、小銭入れ、タバコ、ライター、携帯電話。普段持ち歩く持ち物はこんな感じだったのだが、携帯があれば腕時計は不要であるということに気がついて、まず腕時計をしなくなった。次に紙幣と各種カードを入れておく財布(二つ折りの小銭入れなし=純札と呼ばれるタイプである)が邪魔だと感じるようになり、紙幣のみ折りたたんで持ち歩くようになった。紙幣をそのまま持ち歩くというのは、海外に行ったときいつもやっていることなので、これもとくに違和感なし。その後タバコも吸わなくなったので、タバコとライターも持ち物リストから姿を消した。
ただこの状態だとクレジットカードや各種カードを収納するための「容れもの」がない。カードを数枚ポケットに入れておくというのも落ち着かないし、かといってカード入れを別に持ち歩くのも面倒だ。どうしたものか、としばらく考えていた。
そんなときcyproduct(サイプロダクト)というブランドの存在を知った。当時はプロダクト系、デザイン系雑誌で仕事をすることが多かったので、そのいずれかで見たのかもしれない。目にとまったのは「カード&コインパース」という製品で、ひと言でいうと縦長二つ折りの小銭入れである。商品ページはこちら。
https://item.rakuten.co.jp/cyproduct/cyp23/
(発売開始10周年記念で少し安くなっているらしい)
開いたときに小銭が取り出しやすく、二つ折りの片面内側には収納スペースがある。説明書きにはカード2枚とお札が入ります、とある。これは便利そうだと思い、さっそく手に入れてみた。当時は雑誌の取材で都内を電車移動することが多かったのだが、suicaやpasmoなどの交通系カードとクレジットカードを入れておけば、これだけで十分用が足りそうである。
使ってみるとコンパクトなわりに小銭も入り、予想以上に便利だった。日常持ち歩くカード類はあと数枚あったのだが、それはどうしていたのか、これまたあまり記憶にない。これを使いだしたのは2008年頃だったと思うので、携帯はおそらくまだガラケーだったはずだ(すでにiPhoneは出ていたが流行りものに飛びつくのは嫌い、という面倒くさい性格もあり、ずっと様子見をしていた→この傾向は今も変わらない)。
その後Blackberry Bold(2009年2月)→HTC Aria(2010年12月)→iPhone 4s(2011年10月)と脈絡なく機種変+キャリア変更を繰り返し、4sのときは出たばかりのウォレットケース、Twelve South「BookBook for iPhone」を使っていた。このときは数枚のカードを携帯ケースに入れていたから、それまではおそらく妥協策として二つ折りの財布にカードを入れて持ち運んだりしていたのではないだろうか。それにしても自分自身のことなのに、推測するしかないというのがなんとも情けない。
2〜3年経ってサイプロダクトから少しだけ大きいコインパースが出た。今度の製品は「トラベル カード&コインケース」といい、カード2枚、お札1枚に加えて新幹線の切符が入るという。サイズが大きくなったのは、おもに新幹線のチケットに合わせて縦横のサイズを変えたためだ。
https://item.rakuten.co.jp/cyproduct/cyp119/
ウェブサイトで見たときはちょうど品切れだったので「いつ再入荷しますか」「現行のラインナップにはないようですが、ブライドルレザーのロンドンタンで作る予定はありますか」とメールしてみた。するとまもなくサイプロダクトの齋藤さんから「これから作るところです」という返事が届いたのだった。追加料金を支払えばブライドルレザーで作ることも可能だという。追加料金はなんと材料費の差額、500円だけだった。
オリジナルのコインパース(右)とトラベル・コインケース(左)を並べてみると、こんな感じである。
(コインパース=右はブッテーロレザーのキャメルで、もっと明るいブラウンだったのだが、今は見る影もない)
最初はちょっと大きすぎるかなと思ったのだが、カードが4枚くらい入るなど、さらに便利になっていた。
2013年の12月から使っているが、不満らしい不満は今のところなし。海外に行ったときはクレジットカード1〜2枚と小銭を入れるだけなので、正直オリジナルのコインパース(小さい方)でも用は足りてしまうのだが、容量が大きいトラベル・コインケースをついつい使ってしまう。
唯一の欠点は、小銭をたくさん入れると前ポケットに入れるには少し大きいと感じること。ともあれ、今のところ小銭入れに関してはこれ以外の製品を使う気がしない。そういうプロダクトが身の回りにあるというのは、やはりいいことだと思うのである。